ベトナムに住んで初めて見たすごく長い「アボカド」!
日本でよく食べられている丸っこいアボカド(ブラジル産・ハス種)とは全く違う見た目の為、初めて見たときはズッキーニ?ヘチマ?と思ってしまいましたが、表面のぼこぼこはやっぱりアボカドです。
アボカドと言えば、栄養価も高く、高カロリーで「森のバター」と称される果物。(野菜と思われている方も多いですが、分類学上果物に入ります。)
今回は、そんなベトナムに住んで知った「長いアボカド」のご紹介と、アボカドに多い栄養素についてまとめました。
この記事は・・・
- ベトナムの長いアボカド「034Bơ」
- アボカドの食べ方
- アボカドに多い栄養素
について紹介しています。
ベトナムの長いアボカド「034Bơ」について
長いアボカドの正体。ベトナムで「034Bơ」と呼ばれる品種でした。
ちなみにベトナム語でアボカドを指す「Bơ」は、「バター」を意味します。
こちらの写真は、ダラット地方で栽培された頂き物の「034Bơ」です。長さは15センチのものさしを超え、約20センチほど。
「034Bơ」の特徴
個体差はありますが、長さは20~35センチ、重さは300~800g。
日本で食べられている丸っこいものよりも種は小さく(下の膨らんだ部分に入っています)、食べられる部分が多いです。重量の85%を可食できると言われています。写真でみても可食部が多いですね!
また、皮が緑のまま熟します。
そのため黒くなってきたころが食べ頃ではなく、触って柔らかくなってきたら食べ頃です。
実は黄色く、クリーミーで本当にバターのよう。
「034Bơ」おいしい個体の見分け方
- 長さ15〜20cmの果物を選ぶ。果実が長くなると保存が難しくなることが多いためです。
- 皮は緑色で、黄色の斑点がたくさんある果物を選ぶ。脂質の割合が高い果物となるそうです。
- ミツバチによる黒い点の穿孔の兆候がある果物は選ばない。
「034Bơ」保管方法
「043Bơ」はデリケートなので、適切に保管しないと乾燥して黒くなってしまい、味も落ちてしまうそうです。
ビーニール袋には入れず、涼しい場所に保管します。適温は23~25℃とのこと。柔らかくなったらすぐ食べるのが一番ですが、熟してから冷蔵庫で2~3日保管ができます。
豆知識(034Bơがベトナムに広まるまで)
1991年、ベトナムのグエン・ヴァン・ダウさん家族が、コーヒーと果樹を栽培するために購入した敷地内にたまたま見つけ、所有していたアボカドの木が「034Bơ」の原木といわれています(1993年に花が咲きアボカドが生り始めたようです)。
2009年、ダウさんはラムドン省で収穫量が多くおいしいアボカドの品種を選ぶコンテストにこの種類のアボカドを持ち込み、2位受賞となります(1位はなかった)。そのことがきっかけで、長いアボカド「034Bơ」の存在が人々に広く伝えられ、栽培農家も増え、現在ベトナム広範囲での販売に至りました。
ちなみに、このコンテストに出品した時のコードナンバーが「034」だったことから、現在の品種名となったそうです。
Nông nghiệp Việt Nam(インタービュー記事)より
アボカドの食べ方
もらったアボカド、我が家では・・・
頂いた長いアボカドは、「ディップソース」と「アボカドのお刺身風」にして夜ご飯でいただきました!
ディップソース
潰したアボカドにお酢(レモン果汁OK)、マヨネーズ、オリーブオイルをお好みの量入れて、みりんと胡椒で味を整えます。ハンバーグの味変ソース、千切りキャベツのドレッシングとして大活躍です。
ハンバーグや千切りキャベツに添えて
アボカドのお刺身風
そのままの味を楽しみます!鰹節をかけて、わさびとお醤油で頂きます。
ベトナムでのアボカドの食べ方
ベトナムではアボカドといえば、
- 「コンデンスミルク+アボカド+氷」をミキサーにかけてスムージーにする
- ダイスカットしたものに直接コンデンスミルクや甘いヨーグルトをかける
などデザートとして食べることが多いです。
(シントー・ボー)
その他に調理するなら・・・
アボカドそのものの味に癖が少ないことから、色々な方法で調理可能です。
思いつくだけでも・・・
- サラダトッピングとして、そのままアボカド刺身として
- 天ぷらにする
- ごま油+塩+にんにくで和えて
- グラタンに入れる
- ベーコンと一緒にピラフに(炒める)
- トマト、エリンギ、ベーコンなど一緒にオリーブオイルで炒め、その後酢漬け(ピクルス)に
- チーズ焼きにする
- アボカド+納豆+キムチで丼に
- 魚のお刺身と合わせてポキ風の丼に
等々
アボカドに多い栄養素
特に豊富な栄養素をピックアップしました。一つの食材で微量栄養素を多く含むアボカドは、まさしくスーパーフードです。
豊富な栄養素 | 1食(50g) 当たりの含有量 | 30~40代女性が アボカド50gを食べると・・・ | 1日の目安量、推奨量、目標量 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より |
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食物繊維総量 | 2.8g | 目標量の16% | 1日当たりの食物繊維の摂取目標量は、 男性:21 g以上 女性:18 g以上(男女ともに18~64歳の場合)と設定しています。 |
カリウム | 300mg | 目標量の12% | 生活習慣病発症の予防を目的とした1日当たりのカリウム摂取目標量は、 男性:3,000mg以上 女性:2,600mg以上(男女ともに18~64歳の場合)と設定しています。 |
ビタミンE | 1.9mg | 目安量の35% | 1日当たりのビタミンEの摂取目安量は、 男性:18歳~49歳で6.0㎎、50歳~74歳で7.0㎎、75歳以上で6.5㎎、 女性:18歳~29歳で5.0㎎、30歳~49歳で5.5㎎、50歳~64歳で6.0㎎、65歳以上で6.5㎎と設定しています。 |
ビタミンK | 11μg | 目安量の7% | 1日当たりのビタミンKの摂取目安量は、 成人(18歳以上)男女ともに150㎍に設定しています。 |
葉酸 | 42μg | 推奨量の18% | 1日当たりの葉酸の摂取推奨量は、 成人(18歳以上)男女ともに240㎍と設定しています。 ※妊婦付加量あり。 |
パントテン酸 | 0.78mg | 目安量の16% | 1日当たりのパントテン酸の摂取目安量は、 男性:18~49歳で5㎎、50歳以上で6㎎、 女性:成人(18歳以上)で5㎎と設定されています。 |
ナイアシン当量 | 1.2mg | 推奨量の10% | 1日当たりのナイアシンの摂取推奨量は、 男性:30~49歳で15㎎NE 女性:30~49歳で12㎎NEと設定しています。(NE=ナイアシン当量) |
ビタミンB6 | 0.14mg | 推奨量の13% | 1日当たりのビタミンB6の摂取推奨量は、 男性:成人(18歳以上)で1.4㎎ 女性:成人(18歳以上)で1.1㎎と設定しています。 ※妊婦付加量あり。 |
銅 | 0.12mg | 推奨量の17% | 1日当たりの銅の摂取推奨量は、 男性:18~74歳で0.9㎎、75歳以上で0.8㎎ 女性:成人(18歳以上)で0.7㎎と設定されています。 |
※パーセンテージ(小数点以下四捨五入)は、「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の30~40代女性の目安量、推奨量・目標量を使用して算出した数値であり、個人に必要な量を意味するものではありません。
各栄養素について、少し詳しくご紹介します
食物繊維
食物繊維豊富な食品としてすぐ思いつく食材といえば「ごぼう」ですが、アボカド100gあたりの食物繊維総量は「ごぼう」に匹敵します!
アボカド (100gあたり) | ごぼう (100gあたり) | |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 1.7g | 2.3g |
不溶性食物繊維 | 3.9g | 3.4g |
食物繊維総量 | 5.6g | 5.7g |
不溶性食物繊維は、腸の働きを刺激し便秘解消や予防に効果があります。
水溶性食物繊維は、コレステロールや糖質の腸内からの吸収を妨げ、血清(血液中の)コレステロールや血糖の上昇を抑える働きがあります。また、腸内細菌の発酵を受けやすいため、乳酸菌などの体によい菌を増やし、腸内環境が改善します。
カリウム
カリウムは、ナトリウムの排泄を促す効果があるため、高血圧予防やむくみ解消に効果的です。煮る方法で30%ほど溶けだしてしまう為、煮込む場合にはスープにして汁ごと食べたり、生野菜として食べたほうがカリウムを効率的に摂取できます。
アボカドなら、生のまま食べる調理法やシチューなどに入れて食べると効率的にカリウムが摂れます。
ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用をもっているので、細胞の老化を防いでくれます。血液中のLDLコレステロールの酸化を防ぐ働きもあるため、動脈硬化の予防も期待できます。
さらに、末梢血管をひろげ、血行をよくする働きもあるので、血行障害によって起こる肩こり、頭痛、冷え症などの改善も期待できます。
ビタミンCと一緒に摂るとビタミンEの抗酸化作用がアップします。
アボカドに、レモン果汁を入れてソースとして食べる調理法で抗酸化作用UP!
ビタミンK
ケガをしたときに血液を固める(止血をする)ための酵素を作る為に不可欠な成分です。さらに、丈夫な骨づくりにも関与しています。
ビタミンKは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。また、熱にも比較的安定しています。
「ごま油+塩+ニンニク」や「オリーブオイル+マヨネーズ」とアボカドを和えて食べるとGOOD。
熱にも比較的安定しているビタミンなので、アボカドを炒め物にしてもGOOD。
葉酸
ビタミンB群の一種です。
造血のビタミンとも言われており、貧血予防の効果が期待されます。その他に、日頃から不足しないようにすることで、口内炎や肌荒れ、疲労感の回復にも効果が期待できます。
健康維持に欠かせない栄養素ですね。
妊娠を計画もしくは妊娠中の女性は、胎児の先天異常のリスクを減らすため十分量摂るように、食事摂取基準でも定められています。
名前の通り、緑葉野菜に多く含まれますが、光に弱く、新鮮な葉物野菜を日の当たるところに3日放置すると、約70%の葉酸が分解されてしまいます。(葉物は買ったらすぐ冷蔵庫へ。)また、水溶性のため、茹でて食べるお浸しより、スープごと食べられるように調理したほうが効率的に摂れます。
葉物野菜に比べると、アボカドは、果実が皮で覆われているため、葉酸が光の影響を受けにくい(分解の影響を受けにくい)食材とも考えられますね。
パントテン酸
ビタミンB群の一種です。(別名ビタミンB5。)
パントテン酸はコエンザイムAという成分の一部として、糖質・脂質・タンパク質からエネルギーが作り出されるときのお助け役(補酵素)となっています。
パントテン酸の語源は、ギリシャ語の「いたる所に存在する」。その名の通り、動物性食品から植物性食品にまで広く含まれています。
しかしながら、加工工程(水にさらす、冷凍する、加熱する等)で分解されやすいので、そのまま食べられる食品のほうが効率よく摂ることができます。
アボカドなら、カットしてお醤油をかける等、シンプルな調理法で食べるほうが上手にパントテン酸を摂取できます。
ナイアシン
ビタミンB群の一種です。
糖質・脂質・タンパク質からエネルギーをつくりだす時のお助け役(補酵素)となっています。ナイアシンは、お酒を飲んだあとの二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解するときのお助け役(補酵素)としても活躍しており、お酒を飲む人程、消費量は増えます。
肉や魚にも豊富に含まれ、熱にも強い栄養素なので、普通の食事をしていれば不足の心配はありません。
日々、バランスの良い食事を心がけて、その中にアボカドも摂り入れていくとGOODですね!
ビタミンB6
タンパク質の分解や合成に欠かせないビタミンです。
人の体(皮膚、髪の毛等)はタンパク質で出来ていますが、そのタンパク質が再合成されるのを手助けし、皮膚のターンオーバーを促すなど、皮膚・髪の毛・歯などの健康維持に役立っています。
日頃からタンパク質を多く摂る人は、ビタミンB6の必要量も多くなります。
さらに、脂質の代謝もサポートし、肝臓に脂肪が蓄積するのをセーブするように働きかけます。お酒をよく飲む人は、脂肪肝を防ぐためにビタミンB6の多い食品を摂るとよいといえます。
食材でいうと、マグロやカツオ、牛レバー、バナナ、さつま芋などはビタミンB6が豊富。
ビタミンB6は動物性食品から摂ったほうが、体内での利用効率はよいのですが、水溶性ビタミンのため、茹で・冷凍保存・加工食品では損失が多いです。
アボカドは植物性食品ですが、そのまま手軽に食べられる点においてビタミンB6の摂取効率を考えるとGOODな食材です。
さらにビタミンB6を豊富に含むマグロやカツオのお刺身(新鮮な状態)と一緒に食べると相性抜群!おいしく簡単に効率的摂取が可能に!
銅
ヘモグロビンを作るために不可欠な栄養素です。鉄の吸収を助け、貧血予防が期待されます。
乳児の成長、骨・血管壁の強化、皮膚の健康を維持するために重要なミネラルでもあります。
レバーやたこ、牡蠣、豆類(そら豆など)に多く含まれる銅ですが、コストパフォーマンスや食べる量を考えるとアボカドは効率的に銅を摂取できる食材と言えます。
アボカドの食べ過ぎには注意
ご紹介したように多くの栄養素を含むアボカド。
しかし、たくさんの量を食べればよいという訳ではありません。
日本で売っている丸いアボカド(ブラジル産・ハス種)は1個200g前後。皮と種を除くと「約140g」1個のアボカドから果肉が摂れます。(日本食品標準成分表2020年版(八訂)記載のアボカド廃棄率30%から計算。)
アボカド1個/約140gを一度に食べたら・・・
アボカド1個食べた場合 | 比較 | |
---|---|---|
カロリー | アボカド1個140g =246㎉ | ごはん1杯150g =234㎉に相当します |
脂質 | アボカド1個140g =24.5g | サラダ油大さじ2杯 =24gに相当します |
1個食べただけで、高カロリー・高脂質ですね。。
アボカドに含まれる脂質の多くは、オリーブオイルなどにも含まれる不飽和脂肪酸(主にオレイン酸)で、悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化などを防ぐ効果が期待できます。
とはいえ、健康によいといっても脂肪なので、食べ過ぎると1日の摂取カロリー超過(肥満リスク増加)、さらに(脂質が多いため)胃もたれや下痢の原因になります。
他の食事とのバランスを考えると、
1食に50g~70gくらい(アボカド1/3個もしくは1/2個)
にするのが適量かと思います。
カロリーや脂質を意識しつつ、上手に食事にアボカドを摂り入れるなら、こんな調理の工夫も
- パンにバターを塗って食べるなら・・・
バターを半量にし、その代わり潰したアボカドをバターと混ぜ、ニンニクや胡椒で味を整えてパンに塗ることで、バターの脂質(飽和脂肪酸)を減らし、良質な脂質(不飽和脂肪酸)を摂取できます!
- お肉料理をモリモリ食べるよりも・・・
お肉の量を30~50gほど減らし、その分+30~50gのアボカドを一緒に炒めたり、トッピングしたり、ソースとしてかけることで、お肉の脂質(飽和脂肪酸)を減らし、良質な脂質(不飽和脂肪酸)を摂取できます!
まとめ
ベトナムで出会った長いアボカド「034Bơ」のご紹介と、アボカドに含まれる栄養素についてまとめました。
ベトナム在住の方・ベトナム旅行にいらした方は、ぜひ一度日本ではなかなかお目にかかれない「034Bơ」を味わってみてください^^
そして、アボカドは栄養素が豊富で、食生活に積極的に摂り入れたい食材です。
栄養素ごとに効率的に摂取できる調理法も変わってきますので、栄養素を意識してアボカドをお料理してみるのも楽しいですよ~!